東京メトロ 車内の訪日外国人向けWi-Fi一部終了 契約更新せず インバウンド低迷で岐路

東京メトロは、主に訪日外国人向けに自社の車両内で提供してきたWi-Fiサービスについて、通信事業者との契約更新を行わずに一部内容の提供を終了します。

銀座線渋谷駅に停車中の東京メトロ1000系電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)
銀座線渋谷駅に停車中の東京メトロ1000系電車(Katsumi/TOKYO STUDIO)

全駅・全車両にWi-Fi導入済み

訪日外国人の利便性向上のために東京メトロが主要駅構内で開始した無料Wi-Fiサービスは、2016年6月までに提供エリアを全駅(一部の他社管理駅を除く)に拡大しました。さらに、2016年12月の銀座線1000系車両を皮切りに電車内にもWi-Fiサービスを導入し、2020年夏には東京メトロが保有する全車両への完備を達成しました。

そうした中、2022年6月30日(木)をもって車内でのサービスが終了するのは、東京メトロが訪日外国人向けに提供している無料Wi-Fiサービス「Metro_Free_Wi-FI」です。エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTTBP、本社:東京都千代田区)との契約期間満了に伴うもので、同社が提供する「Japan Wi-Fi auto-connect」などのスマートフォンアプリからの自動接続も使用できなくなります。また、NTTドコモ(本社:東京都千代田区)のWi-Fiサービス「d Wi-Fi」についても併せて車内での提供が終了します。

なお、東京メトロ駅構内においては上記各サービスを今後も引き続き利用できます。また、ワイヤ・アンド・ワイヤレス(本社:東京都中央区)が提供する訪日外国人向け無料Wi-Fi「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」および、有料Wi-Fi「Wi2 300」については車内での提供が続けられます(詳細は下図を参照)。

【図表で解説】東京メトロ 車両内で提供中のWi-Fiサービスを一部終了

交通機関でのWi-Fiサービスをめぐっては、東京都交通局が都営バス車内で提供してきた訪日外国人向け無料Wi-Fiの提供が2021年11月をもって終了しています。こちらも東京メトロと同様、提供元(NTTBP)との契約期間満了を理由に挙げています。新型コロナウイルス感染症の影響でインバウンド需要の低迷が続く中、各交通事業者は外国人のためのサービスをどこまで維持すべきか、選択に迫られています。